【製品規格書はどっちが書く?】営業と製造の泥沼バトルを終わらせる「最強のハイブリッド分担術」
サブテーマ:顧客の要望か、現場のスペックか。「誰の仕事か」で揉めている暇があるなら、ハイブリッドで仕組み化しろ
結論:ものづくり企業の現場で、幾度となく繰り返される不毛な押し付け合い。「営業が取ってきた仕事なんだから営業が書け」「技術的な中身も分からないのに現場に丸投げするな」とお互いにパスを回し合い、床にボールを落として大騒ぎする光景は、もはや喜劇を通り越して悲劇です。製品規格書は単なる社内メモではありません。万が一の品質トラブルや回収騒動が起きた際、「どちらの責任・費用負担か」を法的に決める、実質的な「品質保証契約書」です。どちらか片方に丸投げした瞬間、会社に致命的なリスクが発生します。製品規格書は「ハイブリッド型(共同作成)」で作成し、原本の最終管理は「製造・品質管理」が握る。これが会社を守り、利益を残すための唯一絶対のルールです。
どちらか一方に丸投げすると起きる「大惨事」
規格書作成をどちらか片方の部署に押し付けた瞬間、現場では確実に大炎上と巨額の損失が発生します。
① 営業が単独で書いた場合(現場の完全崩壊):
現場の歩留まりや機械の公差(誤差の限界)、薬事規制を完全に無視して、「液漏れ絶対ゼロ」「色ブレ完全なし」など顧客の無理な要望をそのまま記載してしまう。
いざ不良品が出た際、「現場では不可能なスペックを営業が勝手に約束していた」と発覚し、社内は大混乱。最終的には全額自社負担で損害賠償・製品回収へ直行します。
② 製造が単独で書いた場合(商機喪失と顧客離れ):
外装カートンの梱包仕様、JANコード、納品パレットの積み方など、顧客のビジネス要件がゴッソリ抜け落ちる。
専門用語だらけで顧客が理解・納得できず、商談が長期停滞。競合他社に案件を奪われる原因になります。
揉め事をゼロにする「ハイブリッド役割分担の鉄則」
精神論で「協力しろ」と言っても社内抗争は終わりません。規格書のフォーマットを物理的に二分割し、責任の境界線を明確に仕組み化します。
① 営業が記載・管理すべき領域(ビジネス・顧客要求):
製品名、品番、JAN/EANコード
発注ロット、販売価格、納品先、希望納期
外装指定(ダンボール仕様、入数、ケースマーク)
法定表示(製造販売元・発売元の表記指定、デザイン承認)
② 製造・技術が記載・管理すべき領域(技術・処方スペック):
原材料の配合比率、公差(許容されるブレ幅)、アルコール度数や物性値
容器やポンプ・キャップ等の嵌合仕様とトルク値
検査基準(外観、色調、香り立ち、濁り・異物混入チェック)
保管条件、消費期限、免責事項(限度見本への準拠など)
原本管理は100%「製造・品質管理」が握るべき理由
作成はハイブリッドですが、版数(リビジョン)の管理を営業に任せては絶対にいけません。
① 旧スペックでの誤受注を防ぐ唯一の手立て:
原料の仕入れ先変更やボトルのマイナーチェンジがあった際、営業の手元に古い規格書が残っていると、誤った旧スペックで勝手に客先と握ってしまう大事故が必ず起きます。
② 承認フローを鉄の掟として標準化する:
営業が顧客要望をヒアリングして商務欄を起票する。
製造・技術が技術スペックと検査基準を追記する。
品質保証(責任者)が最終承認印を押す。
営業が顧客へ提出し、正式な合意サインを回収する。
合意済みの原本(Rev. 1.0)を製造・品証サーバーに永久保管する。
この承認ステップを絶対に形骸化させず、品証の印鑑がない規格書は客先への提出を一切禁じるルールを徹底します。
まとめ:責任の境界線を引くことこそが、最大の組織連携である
営業と製造が衝突するのは、お互いがサボっているからではありません。「誰がどこまで責任を持つのか」という仕組みの境界線が曖昧だからです。
お互いの専門性をリスペクトし、営業は「顧客のビジネス要件」に責任を持ち、製造は「品質と現場スペック」に責任を持つ。
美しいバトンパスをフォーマットとルールに落とし込むだけで、社内の不毛な泥沼バトルは完全に消滅し、顧客に対しても圧倒的な安心感と会社の品格を示すことができます。
